アジアカップと果物の王様
いよいよ、今晩が決勝戦です。「北京へのフライト」でも、書きましたが、今回のアジアカップは、いろいろな意味で、特筆すべきことが、多い大会ですね。
まずは、組み合わせが、とてつもなかったこと。首都北京、山東省の済南、四川省の成都、中国西南部の重慶市が選ばれたこと。人口から考えたら、北京は首都として、上海、広州の広東、そして、中国の古都の西安、という感じと思っていましたら、ちょっと、違っていましたね。その配置ですが、当然ながら、中国チームは北京を拠点としたAグループに、韓国チームは済南を中心としたBグループに、成都を中心とするCグループにはトルクメニスタン、ウズベキスタン、サウジアラビアの名前が並んでいます。そして、日本は、重慶を拠点にゲームを展開するDグループに配置されています。韓国チームや日本チームが、中国チームとは別のグループに、きちんと仕分けられているのは、偶然だったのでしょうか?韓国から、サポータが訪中できるように、地理的に近く、国交回復後も韓国との往来が盛んな山東省の済南に韓国チームを配置しています。開催地の中でも、重慶よりもさらに、西に位置する四川省の成都には西域(中東というよりカスピ海や黒海)の地域からの石油や天然ガスのパイプライン受け入れ窓口を目指すために、前回準優勝のサウジアラビア、ウズベキスタン、トルクメニスタンを配置しています。そして、日本には、沿岸部との開発に遅れてしまったが、今後は重点的に開発を行おうとしている西南部の玄関口の重慶に配置されています。日本を重慶に配置したのは、WW2の戦争責任を問わせたいというよりも、これから、発展させます。どうぞ、日本のみなさん、重慶にいらしてくださいね!という、経済的なアピールをしたかったのでは、ないでしょうか?本当に、反日のアピールを行いたいのであれば、中国の4大かまどの「南京」で、Dチームを配置したのではないでしょうか?日本の試合が、ここまで、ものの見事に4試合とも、重慶に配置されたのは、そんな理由があったと思います。
北京の日本大使館発行「サッカー・アジアカップ決勝戦に関連したご注意」
この注意勧告を見て思ったことがあります。遥か大昔、私が、香港に住んで一年以上たった、あの事件が起こったのは、ちょうど今頃の熱い季節に起こった事件のことでした。
アジアの古い言い伝えにこんなのが、あります。「ドリアンの熟すころ酋長がかわる」。匂いが、臭いと掛かれるほどに独特のものがあり、南洋果物の王様と言われる「ドリアン」があります。値段も張るけれども、貧乏人の男なら、「女房を質に入れてでも食べろ」といわれている果物です。それくらい、人々に熱狂を与える果物です。アジアで生きる人々のバイオリズムなのでしょうか、この季節は、どうしても、こういったことが起こる気がします。フィリッピンでのクーデターや、あの事件も今頃でした。
といっても、私が経験したのは、1976年4月5日の第1次天安門事件ではなく、1989年6月4日の第2次天安門事件のほうです。天安門広場において、民主化を求める学生や市民に対して人民解放軍が武力弾圧する事態となった事件です。この事件をきっかけに、欧米諸国と日本は、中国の人権抑圧を厳しく非難して、経済制裁措置をとった事件のことです。香港で働き始めて一年とすこしばかりの私は、当時はインターネットも無い時代ですから、香港の英語テレビ放送で報道されるBBC、CNNなどの欧米のTVを見ていました。トンローワンのビクトリアパーク、チムサーチョイのガウルーンパークに集まったローカルの人たちの腕には、黒い腕章をつけており、事件に対する、連日の抗議デモンストレーションが行われていました。それは、北京に対する抗議でしたが、それに便乗して、日本への反日行動を取る人たちも、多くいました。そのようなことから香港の日本領事館から、今回のような事件と同様な注意勧告が発行されました。
誰にも親がいるように、誰にも『国』があります。そして同じように所属する『民族』があります。しかし、自分の親を誇るあまり、相手の親を罵倒してよいものでしょうか。同じように自分の『国』を他人の『国』と比べて優劣を量ることに意味があるのかと、思います。と、書いてしまっておりますが、スポーツまでを否定しているわけではありません。
アジアカップでの日本人が受けたイメージは、最近のマスコミの報道で悪い印象をもたれた方が多いと思います。でも、この中国人サポータの行っている行動は、本当に「反日感情」から来るものでしょうか?
中国のマスコミ、例えば、中国中央電視台(CCTV)は、日本のマスコミとは、違って、中国政府の一方的な「通達」機関としてのみの存在を100%否定できないために、その報道内容を全面的に、中国の人々は信じていません。というよりも、4000年(去年も、今年も、来年も、4000年なのですが)の間に培った文化の中に、クチコミというのが、はるかに勝っています。理性的な、理想的なことばかりのマスコミ(北京政府)の通達など聞く耳を持っていなくて、感情の捌け口としては、クチコミを多用しています。
「判官贔屓」というのは、弱いものに、弱いからと言う理由で、「えこひいき」してしまうことです。ここで「判官」とは九郎判官義経、源義経のことですから、中国のことわざではありませんが、なんとなく、こんなことわざが、ありそうな気がしました。が、それだけ、日本が強くなったことではないでしょうか?
北京、上海、広東などにくらべて、明らかに発展が遅れてしまい、重慶の人々が、日ごろの不満を発奮する場所を求めていたことと、中国の4大かまど(重慶、済南、武漢、南京)と言われる重慶や済南の暑さが、ドリアンの季節がもたらしたバイオリズムが、運良く(悪く?)、日本のサッカーチームを標的(感情のハケグチ)として起こった事件と、いうような気がします。
参考
『上面有政策,下面有対策』
http://diving.air-nifty.com/marlene/2004/06/a5405sa.html
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