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2008.05.18

「強制」を強いられる「静寂」

080517_180301 「空から降る一億の星」というタイトルのドラマが、かなり前にあったが、さしずめ、「空から降る一億の音」というものを、体験したような、そんな至福な時を過ごしました。その音を聴きながら、ピアノの神様が、空から降りてきて、ハンブルグ・スタインウェイを奏でるキースジャレットに乗り移ったのだろうなあ?などと、わけのわからぬことを思ってしまった。

前半、後半は、それぞれ、40分間。思わず、「武満徹の世界」かあ!?と、なんとも、言えない、インプロビゼーション、を、これでもかと、聞かせられて、食傷気味となってしまいました。ところが、第3部ともいうべき、アンコール部に入った、第一曲目。いままでの、もやもやを吹き飛ばすような、ブルースが、始りました。あまりのことに、今までの食傷気味だった私でしたが、ああ、このブルースともいえる、スピリチュアルを聴きたいがために、ここに来たことを、思いだした。アンコールの2曲目は、スタンダーズ!。ここら辺から、場内のお客様の反応が、本篇の演奏の後とは、打って変ってヒートアップ。いつの間にか、ライブハウスへと、変わってきていた。アンコールの3曲目は、スピリチュアル、アンコールの4曲目はスタンダーズ、そして、驚愕のアンコールの5曲目は、スピリチュアルという展開を繰り返した。アンコールの5曲目の最後には、1階席のギャラリーのほぼ9割がたは、スタンディング・オベーションではなかっただろうか。もう、そのころには、アンコールが始まってからかなりの時間で、21時30分を示していた。これは、第3部といっても過言でもないでしょうね。

ただし、良いこともあれば悪いこともあります。それは、前回のソロのコンサートの際にも、ありました。運よく(?)、前回の池袋での来日コンサートを「生」で聞いて体験しました。それは、観客が、どうしても、咳をしてしまいます。生理現 象だから、仕方のないことですが、主催者でもある、鯉沼ミュージックでも、写真のような異例のアナウンスがあります。本篇のコンサートでも、第一部の前半で、咳が多い ことから、途中で演奏を、やめてしまいました。単純に咳だけではなく、これに、携帯電話のアラーム音、ビニールのすれる音、小銭が床に散乱する音、などなど、日生活では、あり得ること、と、言ってしまえば、それまでですが、観客と共に創られる至福の音楽、というものを、理解して、いないと、せっかくのコンサートが、台無しになってしまいます。

前回のような、事件は起こりませんでした。「武満徹の世界」に食傷気味となる以前に、この緊張感(プレッシャー)で、私は、かなり、気が、疲れてしまっていました。本当は、第二部でも、ハッとするような、音を体験していました。けれども、この緊張感から、かなり、本篇を楽しめなかったというのは、残念なことです。アンコールの第3部は、良い意味で、観客が、ヒートアップしていたのが救いになりました。

沈黙の聴衆 ライブ鑑賞の「マナー」再考 - [ジャズ]All About

観客のマナーに関して、キースは、こんなことを、言っています。大昔のインタビューで、日本の観客は、とてもマナーが良く、アメリカの聴衆のマナーは最低と、言っていました。しかしながら、最近のインタビューでは、日本のマナーは、かつてないほど低下し、その反対に、アメリカのマナーが向上したとインタビューに答えていました。今回も、聴衆のマナーも、良いレベルではありませんでしたが、リンクした記事にもあるような観客のマナーが、自主的に、改善されるようになることを、望みます。「強制」されるような「静寂」のプレッシャーを感じてしまうようでは、あまり良いコンサートとは、言えない気がします。

また、演奏の途中で、一階席の前方で、携帯電話で写真を撮る観客がいました。キースも演奏が終わってから注意を促していました。

最後に、スタイウェイの周りには、マイクが、林立していました。PAを通しての演奏だったという意味では、ありません。2006年のカーネギーでのライブ以来、しばらく、ご無沙汰しているソロのライブアルバムが、このコンサートのものを使って出してほしい。プレッシャーのない中で、本篇を、もう一度、聞いてみたい。そして、アンコールの感動を、もう一度、味わいたい。

キース・ジャレット・ソロ・2008(鯉沼ミュージック)

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コメント

イギリスの聴衆のマナーも最低です。毎回ですがコンサート開始前に「携帯のスィッチ、時計のアラームは切るように」とアナウンスが入ります。何度も演奏者が途中で止めてしまうのでは??と思う場面にも合いました。 ポゴレリッチのチャリティーコンサート(ユーゴ内戦後)では後半始まって10分位に携帯が鳴ったし、ツィマーマンの時は時期が冬場だったせいもあり咳の大洪水、前半が終わったところで彼が「良い薬を知っているから、知りたい人は後で自分に会いにきてくれ」とやんわりと、でもかなりイラついた発言をしてました。その他、プログラムをぱらぱらめくる、物を落とす、じっと座っていれずに動きまくる・・・・上げた出したら切りがありません。 と、長々と失礼しました。 

いえ、いえ、長文でも、書いて頂くだけで、ありがたいです。

観客、それは、日本に限らず、どこでも、あることなのかも、知れませんね。それは、裾野が広がる。ある意味では、ジャズは、クラシック以上に、取っつき難い、音楽とも言われて、明らかに、ファンの人口も減っている、採算に合わない音楽ですから、喜ばしいこと、と、とらえるのが、良いことかもしれません。

今回の来日コンサートは、5月14日に、神奈川県民ホールで、最初に、行われました。参加した方のブログなどを読ませていただくと、両日に参加された方なのですが、昨日のオーチャードよりも、ヒドイお客様が、いらしたそうです。ノイズだらけ、咳のし放題、だったようです。また、最後の音の余韻を楽しむ、余裕も無い、と、言いますか、楽しみ方を知らない、そういった、お客様も、いらしたようです。また、ピアノの演奏に合わせて、手拍子をする!という、新たな展開、と言いますか、初体験をされたと、言うこともあるようです。

リンクの記事のなかで、「Westernize(西洋化)するな、日本には昔から、Meditation(瞑想)の文化がある」、と、キースが、言ったようですが、そのコンサートの現場に居ましたが、席順が悪くて、よく聞こえなかったのでした!。記事を、読み直すと、この訳の「Meditation」とは、仏教の「禅宗」のことを、言っていると思います。今回のステージ上でも、深々とお辞儀をし、修行僧のように、手を合わせて、観客に挨拶するキースが、いました。

新しいファン、お客が増えることは喜ばしいことだと思うのですが、もう少しマナーを学んで欲しいですよね。大勢いるのだから、自分一人ぐらい という考えがこういう行動に出るのかもしれない、とも思います。 英語ではしっくりとくる単語がないのですが、「思いやる」という気持ち、大切ですよね。

帝劇にミュージカル『ルドルフ』を観に行きましたが、皆さん静かでした。咳もほとんどありませんでしたし。
先日の「ランチタイム・コンサート」は最後の音が残っているのに拍手をする人が通路を挟んで斜め前にいました。で、1曲ではないんです。ショパンのノクターンでしたが。派手な終わり方ならOKだと思いますが、ピアニッシモの時は迷惑です。

micukさん

「咳やくしゃみなどは、ハンカチで口元を、覆ってください」と、張り紙に、書かなければならないほど、日本のコンサートのマナーは、落ちてきているという事なのでしょうか?

ライブ会場の多くのお客様が、再生芸術ではなく、その場限りの「インプロビゼーション(improvisation)」、即興演奏であることを、感じてくれると、助かります。

どこで、終わるのか、これから、続くのかなあ?と、思っていると、拍手に邪魔される、、、って、何度もあります。休符や、余韻を楽しむ、学んでほしいです。

はるぴょんさん

ライブの内容にも依るのかもしれません。ノイズが、多いこと、一部のお客様が、失礼をしているのでしょうが、目立ちます。ポップス系のライブだと、違うのかもしれませんね。

拍手は、焦ってする必要も無いのですが。経験を積めば、変わると、期待したいですが、そんなに、悠長なことを、言っては居られませんね。


5月23日の池袋でのライブのレポートを見ると、オーチャードよりも、観客(オーディエンス)が、良かったということが、書かれています。とても、すばらしいですね。すこし、日本人のオーディエンスを見直しました。

>悪く静かなところで咳が出始めてしまった人は、必死に音を消そうとしていたし、曲の終わりではピアノの音が完全に消えるまで、みんな息をひそめて聴き入っていたし、なんだか会場全体が、キースの音楽を大事にしようとしているように感じられました。

>一曲目、最後の音の余韻までみんな固唾を呑んで聴き入っていたし、本当に静かな感動が湧き起こりました。とっても良い感じでした

>1stの途中音が途切れたところでも拍手が起きなかったのはすごかった、緊張がとぎれなかった。

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