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2008.07.27

祝!「浮谷東次郎物語」復刻

51cfutereol__ss500__2  本屋で見つけて、びっくりです。約20年ぶりの復刻本ですから。

1957年(昭和32年)15歳の夏、東名高速道路も作られていない、東京オリンピックも開催されていない、国道一号線が舗装もされていない時代。彼は、父親に買って貰った50CCのバイクで、大阪までの1500キロのツーリングに出かける。旅の途中の出会い、経験、そこから、自分で考えた、人間について、生まれ育ちについて、生活について(がむしゃら1500キロ―わが青春の門出

ブログなど考えも依らなかった時代に、日記という形で旅を記録し、自費出版した「がむしゃら1500キロ」。本田技研工業の創業者の本田宗一郎に、ダイレクトメールで送ったのは、自分をアピールするために、この「がむしゃら1500キロ」の「私家版」だった。(後に、トヨタ自動車へのドライバー採用テストの際にも、送っている。)

Vimage011 浮谷東次郎は、決して、「記録に残る人」では、ありません。商業人としてのレーサーとしての記録は、ホンの僅かばかりです。人々の「記憶に残る人」です。容姿は、眼鏡をかけて、ガニ股で、背も低く、典型的な日本人そのものです。このような復刻版が出る人は、ほんとうに、稀です。そんな彼を知る本として、この「栄光なき天才たち」の復刻版は、まさに、ぴったりだと思います。そして「栄光なき天才」という本で取り上げられましたが、彼は、非常な努力家です。ちくま文庫から出版されている、高校生活を記録した日記「オートバイと初恋と」、そして、アメリカへの留学を独力で掴み、その滞在生活を記録した日記「俺様の宝石さ」などで、独立、学習、成長というものを、感じさせる本たちです。勝ち組、負け組などを、線を引いて諦めたりしないで、どこまでも、体当たりで生きていく青春を感じさせる、そんなトージローの記録です。

「他人の命と、自分の命、その二社選択を迫られた状況下であるならば、潔く、他人の命を選べ」との言葉から、トージローは、走行練習中に、レース場(鈴鹿サーキット)の走行コース上を歩いている一般ギャラリーを助けるために、自らがコース・アウトして回避することを選択します。救急車で病院へ搬送される際にも、救急隊員へ、ユーモアを交えた会話を残していることからも、彼のキャラクターが伺えます。来月、8月21日が、トージローの43回目の命日です。

浮谷東次郎…1942年千葉県市川市に生まれる。15歳の時に市川~大阪間往復1500キロをクライドラーで旅に出る。1960年、18歳でひとりアメリカへ。21歳の時、帰国。トヨタと1ヶ月の専属ドライバー契約を結び、1964年、第二回日本グランプリレースに初参戦。1965年第二回クラブマン・スズカ・レースにホンダS600ベースの「カラス」でGT-Iクラスに参戦し優勝。7月18日には第一回全日本自動車選手権船橋レースでGT-I(トヨタS800)、GT-II(ロータス・エラン)で2種目優勝。同年8月20日、鈴鹿サーキットで練習中に事故。翌21日、病院にて死去。享年23歳。

都市伝説その1)

トヨタとの専属契約ドライバーでもあるトージローが、プライベートで出場したレースの際にパワー不足のトヨタ車ではなく、パワーのあるホンダ車を選んだ。幻の名車として、日本の絶版車としてあげられるトヨタ2000GTの開発は、そんなトージローを意識して、トヨタ自動車のエンジニアの意気込みにより作られたという伝説も生まれている。

都市伝説その2)

日本の各自動車会社のエースが選ばれてトージローが留学したイギリスのジム・ラッセル・レーシングスクール。この卒業生(エマーソン・フェッティバルティ、ジャック・ビルニューブ、アイルトン・セナなど)の中からF1ワールドチャンピオンが生まれている。トージローは、この留学先では、最初は、散々だったが、最終的には、一位を獲得し、翌年からは、ヨーロッパでレースを行う予定が確約されていた。もし、事故がなければ、日本人初のヨーロッパ・レース・デビュー、そして、F1へと続く伝説が、生まれたかもしれない。

浮谷東次郎(公式サイト)

モーターマガジン社 コーポレイトサイト 浮谷東次郎物語

Amazon.co.jp: 浮谷東次郎物語 愛蔵復刻版―俺様の青春ロード (Motor Magazine Mook) 森田 信吾 本

浮谷東次郎 - Wikipedia

Jim Russell Racing School (英語)

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    全日空やサントリーのCMを手がけている写真家で、戦後のベトナムの何気ない人々や風景の写真なとが見れます。ロバート・キャパや一ノ瀬泰造の記事もあります。また、デジタルカメラについての質問や、写真について、などもあります。一ノ瀬泰造とは、先輩後輩の関係のようです。

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    逆境を乗り越え懸命に生き抜く人々の表情は、目は鋭く輝き、むしろ生き生きと、より人間らしく、死に直面した人々だからこそ、生命の尊さを重んじている一面もあるとして、女性という立場から、自然と女性に注目した写真を取り続けています。

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